まん おぶ ざ おーしゃん

今週のお題「海」

職場から少し行ったところに海水浴場がある。今回の話はそこではない。そこに行ったときはない。その海水浴場で話せることは、駐車場近辺にある公衆トイレにお化けが出るっていう話ぐらいだ。

今回の海については、やっぱり俺の故郷の海について語らないといけない。一応海水浴場とされているけれど、あんまり人がいない。というかいない。地元の人口密度にかっちり比例している。海の家もないし、そんなもんさ。

瀬戸内海に面した田舎で育った俺だけど、あんまり瀬戸内海で遊んだことはない。瀬戸内海の浜辺のごみ拾いや、理科のフィールドワークのほうが、海遊びよりもきっと時間をかけている。

何しろいい思い出がない。とにかく海藻がすごいんだよ。小学生が胸ぐらいまでつかる深さのところに行っても海藻だらけなんだよ。ゴーグルなんてつけても緑なんだよ。それが海の真実だとしても、キッズたちには受け入れられなかったんだよ。

なんで学校のプールけってまで海に行く必要があるのか。海水浴場?には海しかない。海水浴場原理主義みたいな環境で、海藻までワイルドに存在している。キッズにはあまりに厳しすぎた。

むしろ学生の時に体力つけるために浜辺の横の道をランニングしていた。海の楽しみではないけれど、海との接し方は砂浜にすら入らず横を走っていただけ。人が少ないからとにかく走り易かった。でも田舎だから街灯がないから夕方以降は野犬が出るっていうね…。

何せ田舎だったからか、海をエンジョイするためにはやっぱり町の力が必要だと思っている。大きな町の援助があって、海というステージが飾られないといけないんだよ。ただ地面と海の間に砂浜があって…じゃどうしても限界がある。

キッズが来るわけないんだよ。最近でも夏になると、時々海まで歩いて、浜辺を散歩するときがあるけど、まぁ人がいない。でもね、逆にいいもんだよ。自販機でジュース買って、砂浜にジーっと座ってラジオでも聞きながらぼーっとする。

本当に心が無になる。バグる。目は開いているけど、海を見ているのか分からない。ラジオは音が全然届いていない。汗をかいているけど潮風が吹いてゆく。なんだかわからないけれど、心を殺すのではなく心を消す。脳に思考させない。口からヨダレが垂れそうになる。感情の起伏なんてないのに涙が出るときがある。砂浜も太陽光も暑いのに完全に脱力する。

高校3年生の夏。夏休みなんてなかった。

盆以外毎日投稿して、少なくとも昼過ぎまでずっと高校で受験対策のために勉強して、そのあとは夕方までずっと体育祭の準備を進める。体育祭の準備会の役員になってしまったから、とにかく大変だった。だから登校しなくていい日は、ひとまず海に行って脱力していた。

当時は今のような携帯電話がないと生きていけない環境ではなかった。PHSと携帯の2本柱でPHSはうちの田舎では通じなかった。携帯持ってなかったから、役員の連絡をするわけでもなく、学校でのみ情報交換が進む。休みが本当に休みだった時代だった。

今でも1時間半ぐらいは脱力できる自信がある。

それにしても俺が大学受かったのって、このレジャー性0の地元の海のおかげだったのかもしれない。

サンキュー海。サンキューな!!